イノベーションの戦略
<イノベーションの戦略>
イノベーションの戦略は「機会」に焦点を絞ることです。
「機会」とは顧客の「未だ満たされていないか気付いていない欲求」です。
この欲求が社会のトレンドであり、強みを活かして対応できるものであれば「よい機会」となります。
世界に変化しないものはなく、
それに応じて「機会」は、知る知らないにかかわらず絶えず生まれます。
その「機会」には2つの種類があります。
①豊かさのなかでの「機会」
基本欲求は満たされています。
豊かさは人をして「より以上」の欲望と感動を求めさせます。
「機会」の焦点は、「より以上のモノ・コト」「今までかってなかった新規なモノ・コト」です。
②貧しさのなかでの「機会」
貧しさにおいては「価格」の要素が有意性を求めます。
しかし難しいのは価格がただ安ければ機能や品質が落ちてもよいというものではなく、ここでも「より以上」でなければならなくなってきています。
現在は、豊かさと貧しさが同居しています。
そのため、
①自社の経営資源の「強み」を明確にしたうえで
②顧客「ターゲット」を選別します。
③さらに、顧客「ターゲット」の「欲求・価値観・現実」を分析します。
④分析に基づいて求められる活動に資源を集中させます。
これが、イノベーション戦略です。
具体的戦略は2つです。
①豊かさに対して
顧客の感動を引き起こす「些細さのつくり込み」が必要です。
「些細さ」には高度な洗練と完璧さが必要です。
そのため、感動の作り手・送り手である人材の育成とそれを実現できる環境とシステムが必要になります。
加えて、絶えず変化させ追加していくため経営資源および知識を集中させることが必要です。
②貧しさにに対して
絶ざる機能・品質向上と生産性向上を行い割安感(コスト・パフォーマンス)を実現させます。
また商品仕様を顧客の現実・欲求に適合させること留意します。
そのため、より満足できる価格・仕様の実現のため経営資源および知識を集中させます。
イノベーションは、焦点を絞り「環境の変化にあわせ」また「創り出すこと」によって、
はじめて「より良い満足」を提供することが可能となります。
<イノベーションの経営資源の活用>
イノベーションは「機会」へチャレンジすることです。
それは企業の盛衰にかかわることがらです。
そのため一般の業務活動やマーケティング活動等とは違った資源活用が必要です。
①人材
日頃より人材の適正を把握しておき、
そのプロジェクトの最良・最適の人材を投入する。
②資金
イノベーション活動は企業存続のための必須の活動であるので、
可能な限りの資金を調達して別予算を組み活用する。
普段の通常活動においては絶えず生産性向上をはかり資金消費を最小化させる。
そのことによって必要な余剰キャッシュ・フローを蓄積する。
<失敗の見極め>
成功するチャレンジの確率は決して多くありません。
そのため、すべてのプロジェクトに資金を投入することは効果的でありません。
成果がなかなか実現しないプロジェクトは早めに見極め撤退が必要です。
<失敗の活用>
失敗により多くの情報・経験・ノウハウを得ることが可能です。
この情報こそが貴重な経営資源たる「知識」になります。
そのため失敗の情報を整理し分析しデータベース化し共用できるようにすることが必要です。
人材育成ためには失敗経験が重要な役割を果たします。
それは3つの役割です。
①先に述べたように失敗により多くの情報・経験・ノウハウが獲得されます。
②人材により広い、より深い認識と視野をもたらします。
③人材によるところもあるが、再チャレンジの機会が提供された時に以前よりも強くて深い意欲が生じます。
そのため本人の怠慢による失敗以外は、むしろ奨励されるものです。
場合によっては、あえて失敗を経験されるマネジメントを行うことも有効です。
だから、失敗を許容し有効に活用することが戦略的なマネジメントです。