変化の手がかり
<変化のてがかり>
イノベーションの機会をどのように見つけたらよいかということですが、その手がかりはすべての現場(現地)にあります。
現場では「満たされない欲求」や「新たな欲求」やまた「問題」や「課題」が発生しています。
現場(現地)を見ていると何かが見えてきます。
強い関心と問題意識を持っていると、ふとした状況のなかに気づきがあります。
これが手がかりです。
成功するイノベーションは、必ずしも大きな変革が必要なものばかりではありません。
ささいな変革が、大きな成果をもたらす場合もあります。
イノベーションの成果は顧客にかかわることで、評価するのは顧客です。
すべては顧客の視点からはじまります。
<てがかり発見の担い手>
てがかり発見の担い手は4者です。
それは、①顧客者自身、②経営者、③従業員、④関係者です。
①顧客自身:クレームや要望などのかたちで浮かび上がってきます。
最も直接的ですがこれを拾い上げる方法や解釈するする方法が必要で、この方法を意識し整備されなければなりません。
②経営者:もっとも問題意識の高い当事者であり最終意思決定者でもあるので、イノベーションの重要な発信者となります。
しかし、知識範囲には多様さが要求されるので発想の源泉としては限界があります。
③従業員:現場にいて顧客や関係者との接点も多く持つことより、最も有力な発案の源泉です。
しかし、問題意識や危機感やシステムが不備であれば当事者でなく部外者的な感覚を持つので、誘因やシステムのうえで効果的なマネジメントが必要です。
④関係者:直接の当事者でないので、第3者としての冷静な視点を持ち思わぬ核心をついた情報がもたらされることがあります。
そのため、良好なネットワークと活用システムの構想と構築が必要です。
経営者(マネジメント)は、働く人がイノベーションの意欲を持つように働きかけるとともに能力を発揮できるように支援しなければなりません。
イノベーションは、どの部門にも機会があります。
基本は、顧客のより良い満足のために何をすべきかということです。
<手がかりと担当者>
イノベーションは、技術にかかわることだけではありません。
イノベーションは、変化する顧客の満足に関わって実行しなければならない活動です。
先行するのは、いつも顧客の欲求の発見(手がかり)です。
技術のイノベーションは発見した顧客の満足を満たすための部品の一つです。
イノベーションは、顧客に関わる活動とそれを支援する活動の全てを含みます。
全ての企業活動のなかにイノベーションの必要性と機会が存在します。
イノベーションは、マーケティングと同じようにすべての部門が関心を持ち、取り組まなければならない基幹の活動です。
そのため、その「手がかり」も従業員全員が関心を持ち見つけ出し実行しなければならないものです。
<ふとした出来事>
ふとした出来事が「てがかり」になるケースが多くあります。
カップラーメンは、即席ラーメンのセールスに行った際に、紙コップに入れて湯を注ぎ試食する姿からの日清食品の社長であった安藤百福氏の発想だったとされている。
ウォークマンは、ソニーの社長であった盛田昭夫氏が前社長であった井深大氏の「どこでも音楽を聴ける製品を作ってくれ」との依頼をヒントにしてつくられました。
このように、ふとした出来事から革新的な新たなヒット商品がつくられます。
ここで、大事な要件が隠されています。
経営者がてがかりを見つけるということです。
この他にもどうような事例は無数にあります。
要点は一つです。
いつも問題意識・危機感を強く持って観察し考え続けているということです。
このことより、全従業員に”手がかり”を見つけてもらう要件は三つです。
①私たちのミッションは何かを示し深く理解してもらうこと
②権限を大幅に委譲すること
③それとともに責任を明確にすること
です。
そして、その要件を機能させるために
①自発的な意思を尊重したうえで適材適所の配置を行い
②成功に対する評価基準を明確にする
ことが前提条件となります。