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仕事の設計

<仕事の設計>

 

仕事を設計するに際しては、もっとも重視しなければならない要件が2つあります。

それは、「効用」と「機会」です。

 

①機会:機会のないところでは、成果を得ることは

できません。

機会にむかって活動をおこない、機会がなくなれば撤退します。


機会の意味:顧客に貢献できるまたしなければならない状況の変化のことです。

この状況の変化にこたえることが、顧客の満足を実現することになり企業が「効用」の開発・改善を行う契機になります。

 

②効用:私たちの顧客に対して、満たされていない欲求を満足させるのが「効用」です。

効用の実現を目的に、商品(製品)・サービスをつくるため仕事を設計します。

効用の意味:顧客に満足を与えることができる複合機能です。

効 用 参照 クリックしてください

 

仕事の設計は「機会」を契機として「効用」を効果的にかつ生産的に実現できるように行います。

 

<機会>

機会には、3つのものがあります。

①新たな機会

未知の効用(商品・サービス)の開発、ビジネスモデル・体制の変革を求められるような「機会」です。

大きくは情報革命で、他には成熟化に伴う顧客の欲求の変化、WEBの進展に伴う流通の変革などでその他に個々の事業において絶えず大小取りまとめての「機会」が発生します。

 

②既存のなかでの機会

顧客は絶えることなく「より良きモノ(コト)」を求めます。

そこには、とうぜん絶えることない「機会」が発生します。

また、それに伴って絶えず「機会」に対応しなければリスクが発生します。

 

③効用を実現でなくなった活動を排除する機会

機会は収益を上げる機会ばかりでなく、利益を確保するための守りの機会もあります。

経営資源は有限です。そのため、利益の最大化・最適化が望めなくなった活動については、

定期的に縮小・排除しなければなりません。

 

仕事は「機会」に対して、求める顧客の「効用」の実現を目指して設計しますが、 

「機会」活動については、よりよく成果を実現するための3つの先立つ前提があります。

①私たちのミッション:よって立つ基盤です。

②私たちの顧客:ミッションと一体として導き出されます。

「強み」を核として「機会」を契機にして、「立ち位置(顧客ターゲット)」の変更・拡大も行います。

③私たちの「強み」:「強み」がなければ勝機はありません。しかし、「効用」の達成のために育成・強化、獲得をはかります。

 

「前提」は、「強み」に焦点を絞るために行います。

焦点が分散していれば「市場リーダー」の地位は獲得できず、強い経営を行うことができないからです。

 

顧客、市場、技術、法律・規制など、私たちを取り巻く環境は絶えず変化します。

そのなかで、「私たちがしなければならないこと」「私たちにチャンスがあること」「私たちが一番貢献できること」などの「機会」が絶えず生まれます。

その「機会」を見出すことが、企業にとっての基本課題です。

 

◎「機会」のなかでもっとも重視しなければならないのは、「顧客の声」(顧客の未だ満たされていない欲求)とその変化です。

 

「機会」に私たちの「強み」である経営資源を集中させて、「仕事」を設計します。

  

<仕事の設計の手順>

①あらたな欲求およびその変化の分析と定義

3つの欲求レベル、①満足レベル、②感動レベル、そして③不満足を回避レベルについて分析し、その欲求についての認識を共有するために定義をおこなう。

②効用の定義

各欲求レベルに対して、成果を実現させるために核となる「効用」をさぐり定義します。

③機能活動の定義

「効用」実現のために必要な機能要件を明らかにし定義します。

④機能活動単位の明確化・具体化

実際活動のために必要な活動目的・目標とそして具体的な活動内容を規定します。

⑤機能活動のプロセスと関係性を明確化し統合し構造を設計

機能活動単位の関連、順位性を明らかするとともに活動の目的・目標を具体的に示し構造化します。

⑥効用の実現のための仕組みづくり

意思決定、指示および情報伝達系統の関係を整備して具体的に組織を構成します。

そして、すべての従業員の意識統一のためにビジョンをしめしそのビジョンのもとに各部署の役割および到達目標を周知します。

⑦仕組みが円滑に統治されるための基準と方策の設定

目標が的確に実行されるために、行動規範や評価基準等の企業統治の仕組みがつくられます。

また、自身の活動が効果的に測定・確認できるようにバックアップシステムと教育・訓練システムも併せて構築します。

  

仕事の設計は、

顧客に満足してもらえる、それも一番満足してもらうことを目的に設計しなければなりません。

それ以外の目的はありません。 

この目的を実現するために合目的的に設計されなければなりません。

 

<仕事の設計の要領>

①基本設計を行うのは経営者自身です。

②実際の仕事の設計は現場の働く人(現場で、顧客や現物との接点を持ち現実をよく知っている人)が行います。

 

<基本設計>

基本設計において大切なことは、「どのような顧客に対して行うか」「何故行うか」「何を行うか」「どのような方法で行うか」ということが明確でなければなりません。

ここで基盤となるのは「使命感」と「基本コンセプト」で、価値観の創造とその周知徹底です。

 

また、実際の活動の基準となるビジョンを提示し、組織をつくり、中長期計画を策定し、各部署に適材を配置します。

 

成果を実現する仕事の設計は、使命感の持っていない人には困難です。

使命感が仕事の意義と意味を明らかにして、そして働く人に方向性を明らかにします。

 

<実際の仕事の設計>

実際の仕事の設計は現場で働き顧客をよく知っている人が設計します。

 

その設計においては、3つの課題を中心に、4つの目的の仕事設計を行います。 

3つの課題とは、顧客の満足であり、②顧客の不満足の回避であり、③顧客の感動の実現です。

この3つの課題を現場で実現するための活動は何かをまず規定します。

 

次に、この活動はお互いにどのように影響を与え関連づけられるかという関係性を明確にしなければなりません。

そしてその関係性を明確にしたうえで、情報を円滑に流通し統合されるように情報の連関性を明確にしなければなりません。

これは意思決定の所在についても明確されるものとなります。

これらの手続きと関係性を明確にして仕事は設計されます。

 

①<品質・生産性向上ための仕事の設計>

今も機会を有している効用に対しては、

価格の優位性及び利益の獲得のために生産性の向上が必要です。

また、市場リーダーとしての地位の向上・維持のため品質の向上が必要です。

以上を実現させるために行うのが“改善(カイゼン)”です。

 

カイゼンは日常業務活動のなかで現場の従業員が主体になって行います。

仕事のカイゼンのための設計は、現場の仕事であり権限であり責任です。

ただし、他の部門との関連(多くは何らかの関連がある)がある場合は、全体的な能率性・生産性の判断のもとに調整を行う必要があります。

 

②<陳腐化排除のための仕事の変更設計>

すべては変化します。プラスの変化だけでなくマイナスの変化もあります。

また、効用は普遍ですが、すべての商品・サービス・機能にはライフ・サイクルがあり陳腐化します。

陳腐化に対しては、定期的に事業の状況をチェックし分析して、仕事の再設計が必要です。

※これはトップマネジメントが中心になって、現場の意見を聞きながら意思決定しなければならない活動です。

戦略的管理会計 参照 クリックしてください

 

③<「強み」形成のための仕事の設計>

業務および革新レベルの向上には、人材の育成・訓練、価値観の共有化、組織の質の向上が求められます。

戦略的判断および意思決定が必要なので、トップマネジメントの基本方針を受けスタッフが具体的方針を示します。

その方針を受けて、現場が問題点・課題を検討して社外・社内の関係者を巻き込んで「強み」を形成するため仕事の設計を行います。

 

④<革新のための仕事の設計>

機会のなかには、企業が大きく顧客に貢献できかつ市場リーダーになれる変化もあります。

その場合は、リスクをかけて最良かつ最大の経営資源を投入しなければなりません。

そして、トップマネジメントは直接かかわり、最適な人材を指名してプロジェクト・チームのもとに日常業務と切り離して特別の仕事として設計を行います。

イノベーション 参照 クリックしてください

 

<仕事設計の留意点>

①活動の関連・関係性の明確化

②情報の関連・関係性の明確化

③意思決定の責任と所在の明確化

 

そしてそれらの設計構想をもとにプロセス化され、組織運用の方法も規定され、組織として実際に構築されます。

最後に適正人材が配置されます。

 

仕事は、主たる目的として顧客の満足を実現させるために設計されます。

しかし、よい「仕事の設計」の設計だけで組織は機能しません。

なぜなら、仕事をするのは「人」です。

「仕事」の質をあげ、活力を注入するのは「人」だからです。

 

また、企業の目的は顧客に貢献だけではありません。

社会の成員のであるため、とうぜんステーク・フォルダー(事業関係者)への貢献も必要です。特に従業員への貢献(「生きがい」、「生活の糧」、「所属する場」)を行わなければなりません。

 

成果を実現できる「仕事」は論理的であらねばなりません。

その論理の前提なくして、「人」の活力がいくら注がれても成果がもたらされません。

論理的で、かつ合理的な仕事の設計は、「仕事のマネジメント」がまず取り組まなければなければならない「基本活動」です。