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成果を実現させる経営者のタイプ No.175

<成果を実現させる経営者のタイプ>

 

1.変化する成功モデル

 トヨタは、課長級以上の管理職約9,800人の今夏のボーナスを平均4~5%
 程度減らすと発表しました。
 2020年3月期の連結純利益は前期を上回る見込みだとするなかなのに。
 「100年に一度の大変革期」での自動運転や電動車の開発競争激化など経
 営環境の厳しさを受けて危機感を“見える化”させるためなのでしょう。 

 トヨタの平成29年平均年収は831万円だそうです。
 それを20代と50代で見ますと、
 20代の年齢別平均年収は、前半が290万円、後半が630万円です。
 50代の年齢別平均年収は、前半が900万円、後半が1,010万円です。
 20代後半、50代の年収の充実度からはトヨタのカラーがうかがえます。

 こんな年俸なら満足感に浸りきり、危機感が遠のくでしょう。
 組織への忠誠心は生まれるけれど「100年に一度の大変革期」への危機感
 や変革の意欲はどうなのでしょうか。
 現在の安定は、過去の使命感や危機感や共同体意識が機能できたから得
 られたもので、マネジメントはこれを今後も喚起できるかどうか。

 豊田章男さんは「雇用を続ける企業などへのインセンティブがもう少し
 出てこないと、なかなか終身雇用を守っていくのは難しい局面に入って
 きた」と言い始め、課長級以上の今夏のボーナスカットに加え仕事の成
 果に基づく評価幅を広げるなど仕事の取組み方の改革も進めています。
 これは加えての「意識変革」を求めてのことなのでしょう。


 2019年の「ルマン24時間レース」が終了したその結果は、なんとトヨ
 タが2年連続となる総合1-2でのゴールを果たしました。
 あのホンダでなくてトヨタがこんなことをしでかすとは、また広告キャ
 ンペーン「FUN TO DRIVE, AGAIN.(もう一度新しいクルマの楽しさを創
 造させたい)」などイメージ超えをはじめています。

 豊田章男さんの「100年に一度の大変革期」や「なかなか終身雇用を守っ
 ていくのは難しい」発言は。
 これは変革への強いメッセージで、企業存続と自身の生活基盤を守るた
 めに危機感をもって貢献、参画してもらいたいとの思いの現われで“企
 業文化”により育成された人材に、さらなる貢献を求めています。
 

 何故、こんなにもトヨタは“危機感”を持っているのか。
 あなたは、それを理解しているでしょうか。
 今まさに「100年に一度の大変革期」が幕を開けており、これから先は
 世の中に散らばっている「新たな“知識”」を探り当て、自他を超えて
 「マネジメントの“知識”」で「効用」化しないではおられません。 

 ここには、マネジメント(経営陣)が必死で行おうとしている「より良
 く存続して行く」ための改革の本質があります。
 その本質とは、人が持ち得る「多様で異質な能力」を、企業(組織)を
 してどのように他と連携しつつ継続して最大化をはかるかということで。
 これに失敗すると「運命共同体」は、生きては行けないのです。 

 トヨタは何故強いのか、他企業を遥かに凌ぐ業績を実現させている基盤
 は何か、それは「トヨタ生産方式」で、この基盤にさらに磨きをかけて
 「原価低減」を継続させようとしています。
 これはトヨタが、過去、倒産の危機のなかでの大量解雇の苦渋の中から
 大野耐一氏が中心になって根底からつくり上げたシステムです。

 けれど、その“強み”だけを当てにしていたのでは、もはや「社会が求
 め始める“効用”」に適えることができないと感じたのです。

 トヨタはこの「トヨタ生産方式」の強みを一方に置き、もう一方でビジ
 ネスモデルの「フルモデルチェンジ」を行おうとしています。
 それは「仲間づくり」をキーワードにして「志を同じくする仲間を広く
 求めていく」という未知なる革新活動と言えます。
 ことここに至っては自社の「知識」だけでは、如何ともし難い。

 

 

2.“知識”の集め方
 かなり話がこんがらかっています。
 超優良企業の“覚悟の活動”から「ポスト資本主義」の時代での“危機”
 つまり危険と機会についてを読み取っていただきたいと思います。
 これからの経営の行方は「最大の資産である“人”」がつくりだす“知
 識”をどのようにマネジメントするかがすべてとなります。 

 そのためにトヨタが加速させているのが、ソフトバンクやパナソニック
 などの「異質な知識企業」との連携で、
 最も大切なのは「効用のある“知識”」を、自社だけでは不足するので
 他との連携により相乗的に活用して競合していくことです。
 これからの企業の強みは、多様な“知識の効用”に集約されるのです。

 連携先とされるパナソニックも「“知識”の連携」を進めています。
 
 ロボットシステムのソフトウェア開発を手掛ける浜松市にある「リンク
 ウィズ」と「地味だが歴史ある溶接事業」との資本業務提携で。
  「溶接の可否検査を自動判定」を実現させようとするもので、パナソニ
 ックがこんな分野にまで「“知識”の連携」を求めるこのあり様のなか
 に、大げさにはなるのですが「ポスト資本主義」が嗅ぎ取られるのです。

 
 新たな時代に、さらに求められるのが2つの能力です。
 一つは何なのか、誰もその中身まではよく知らないのですが社会に新た
 な「満足効用」をもたらす『“知識”の専門家』。
 もう一つは、多様な『“知識”の専門家』を活用してマネジメントして
 卓越した「効用」に完成させる「“マネジメント”の専門家」です。
 

  専門家の貢献なくして、それを成果に結びつけるマネジャーとトップマ
 ネジメントの存在なくして企業(組織)の存続・成長はありえません。
 逆に、専門家もまた育成してくれ、より良い活動の場を提供してくれ、
 よりよく活用してくれる企業の存在なくしては活きれない。
 経営者のマネジメントのあり方によって、企業の存続は決せられます。

 朝日新聞の朝刊に、ユニクロのこんなことが掲載されていました。
 「日本事業の最高責任者(CEO)に、グループ執行役員の赤井田真希
 氏(40)が、就任した。赤井田氏は吉祥寺店を店長として有数の繁盛店
 にするなどの手腕を買われた。国内事業トップに女性が就くのは初めて。
 この起用で、飽和感のある国内事業の底上げをみざす。」


 「成果を実現する人」について、ドラッガーはこのように言います。
 
  「私は、成果をあげる人間にタイプなどというものは存在しないことを
 かなり前に気づいた。共通点は“なすべきことをなし遂げる能力”をも
 っていたことだけだった。」「自らの能力の存在を成果に結びつけるう
 えで必要とされる習慣的な力である。」「成果をあげることは習慣であ
 る。習慣になるまで、いやになるほど反復しなければならない。」
 
 追加で述べますと、

 タイプは異なってもすべての人が「異なる能力」を持っています。
 観察眼鋭いドラッガーが気付いたように「ことを成すには、ことをなす
 ことを思い実行し、それを習慣づける」のだというのが結論のようで、
 ところで、これは「為せば成る、為さねば成らぬ何事も、成らぬは人の
 為さぬなりけり」上杉鷹山が詠み与えた歌そのもののようです。